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INTERVIEW Vol.2INTERVIEW Vol.2 監督 山本靖貴 × シリーズ構成 横手美智子

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Chapter 3:恋愛要素と群像劇で男女問わず楽しめる作品に

山本監督 いよいよ放送となるTVアニメーション版『戦場のヴァルキュリア』。前回のインタビューでは、原作からアニメーションへと受け継がれていく想いをテーマとしたが、今回は、それらがどのように昇華されアニメーションとなっていくのか監督の山本靖貴氏とシリーズ構成を担当される横手美智子氏のお話を3回に分けてお届けする。
 最終回である今回は、山本、横手両氏によって苦労話を交えつつ語られる見どころを伺った。

――横手さんに監督からリクエストはありましたか。

横手:こちらが謝ることばかりで、理想的な監督です。それに、コンテを見てもすごくて、あとはA-1(ピクチャーズ)の地力しだいだなと思ってます(笑)。コンテが逃げてない、ものすごく細かく、リアル志向のお芝居をさせているんです。いまは、それが一番アニメ的には難しい描き方だと思っているのですが、それを真正面からやっていて、「ああ、これは見たかったものだ」と思いました。

山本:僕と横手さんとはこれが初めての作品なんですが、特に意見が衝突することもなく、お互いに求めているものが一致していて、理想的だと思いますね。

――脚本は監督の要求したものが上がってくるということですね。

山本:もちろんそうなんですが、時々要求したもの以上のものが上がってきて、そこは楽しいですね。恋愛描写でも自分が思っていた以上に「来たな」と思うこともありますし、今回のライター陣は本当にすごいなと思います。

――恋愛と日常劇の配分はどれくらいでお考えになられているのでしょうか?

横手:ラブロマンスが45%、戦争がちょっと少なくて25%、群像劇というか、仲間の物語が30%くらいですね。戦闘のパートでも、恋愛要素を必ず念頭において会話させています。すごく難しいと思います。今回は戦闘のお話ということでも、そこに至るまでの感情の流れがあって会話を書かなければいけないので、各ライターさんは、物語をちゃんと把握しないといけなくて大変ですよね。

山本:戦闘中にイチャイチャさせるわけにいかないので難しいと思います。

――横手さんは『.hack』以来久し振りのゲーム原作作品だと思いますが、やはりほかの原作ものと比べて難しいのでしょうか?

横手:『.hack』はゲーム原作とはいえ、オリジナルでしたから、ゲームをあまり見る必要もなくて、『戦場のヴァルキュリア』のほうがハードルは高いですね。これは、漫画原作のものをアニメ化するよりかなり難しいです。原作と同じシチュエーションをアニメーションする場合、ストーリーを一旦自分の中に吸収して、忘れて、一から会話などを作るという作業になるので。もがく感じで作っています。

山本:原作ものというカテゴリーともちょっと違うとは思います。原作のストーリー比重が比較的軽いので、オリジナル作品といってもいいくらいストーリーを作っていますので。

横手:ゲーム原作でアニメーションの脚本を書かれているほかの方はどうしているんでしょうね。

横手美智子さん――参考にされた作品はありますか?

横手:私の人生の中で一番なかったものが入ってきたなと思ったのは『パットン大戦車軍団』ですね(笑)。自分でいろいろ探してみたんですが、あれは面白かったです。それとセガさんからは、いろんな本を薦められました。

山本:セガさんは、合宿で『バンドオブブラザーズ』を見ていたと聞いていて、僕も見たんですが、それをこれでやってしまうと全然違うものになってしまうと思ったので参考程度にしています。

――本作のターゲットは?

横手:個人的には、女の子に見てもらいたいですね。それで、「キャー素敵」といってもらいたいです。ちなみにマクシミリアンはすでに我々の間ではマッキーと呼ばれています(笑)。

――全体の見所はどこになるのでしょう?

山本:僕としては前回もお話しましたが、恋愛ものとして見ていただきたいということなんですが、いつもそう言っていると思われるのもなんなので、だんだん変えていこうと思っています(笑)。でも、とりあえず、恋愛要素を見てください(笑)。

横手:各キャラクターの魅力です。格好よく、可愛く見えるようにがんばって書いていますので、皆さんが好きになってくれるといいなぁと思います。それとキャラクターがちょっとずつ変わっていくので恋愛大河作品になってくれているといいなぁと思います。それとイェーガーの男っぷりと、結構男の裸が……(笑)。ちなみに私的には、イェーガーがオススメです。イェーガーだったら30分書けます。イェーガーがぐだぐだしている描写だけで。

山本:「イェーガーの一日」みたいな感じで。

横手:そうそう、昼の二時くらいに起きてきて、いきなりビールみたいな。あとは、アリシアの可愛い、恋愛スキルのない感じを可愛がっていただけると嬉しいですね。いい子なんですよアリシア。幸せになってくれるといいなぁと思います。

――幸せにならないのでしょうか?

山本:「わかりませんよ」と含みを持たせて(笑)。最後の描写はゲームとは違いますので……(笑)。作っている間に、ますます面白くなっているのは確かです。期待してください